幽霊姫は止まれない!
 この国へ新人の近衛騎士たちも一緒に来てはいるが、彼らの仕事はあくまでも合同訓練に参加することでありオスキャルと違って私を護ることではない。これはソードマスターといえど流石に疲れが出てきたということなのだろうか。

「ねぇオスキャル。今日は私とここでゆっくりする?」
「は?」
 私の提案に呆然とした表情になったオスキャルが間の抜けた声を漏らす。
「考えたら友好国とはいえここは他国。いつも以上に気を張って護衛してくれてるでしょう? しかもカモフラージュのためとはいえ他国の高位貴族の令息たちに訓練もつけなくちゃいけなくなってしまったわ。いくらオスキャルがソードマスターといえど、体力は無限じゃないし」
 いや、むしろ精神の方が疲弊してしまっているかもしれない、と訓練をつけながらも私の方をチラッチラと見ていたことを思い出す。

 彼が疲れているのなら、一日がっつり休暇を取るべきだろう。私は休暇すら与えず働かせ続けるような主君とは違うのだ、警備の関係上私と離れて休ませることはできないとしても、安全を確保した場所で一緒にゆっくりすることはできるはず。

「うん。そうね、今日はゆっくりしましょうか」
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