幽霊姫は止まれない!
 私の気遣いと現実を鑑みた提案を聞いたオスキャルが、何故か顔色を悪くしそう声をあげる。だが一体何が彼の不安をそこまで呷っているのかがわからず私は思わず困惑しながら首を傾げた。
 私の表情を見てそのことを察したのだろう。オスキャルが再び早口で話し出す。

「というか主君のベッドにど、同衾なんて許されませんし!」
(なるほど、そんな心配をしていたのね)
 ここは他国。確かに過保護な父や兄、姉たちに一緒に寝ているところを見られれば何か小言くらい言われるかもしれないが、ある意味その心配がない分ここならばたいした問題にはならないだろう。私は彼を安心させるように満面の笑みを向ける。

「バレなければいいじゃない。だから……ね? 一緒に寝ましょう」
「バレなければいい……? いやダメだ、むしろもっとダメだって!」
 だが、そんな私とは対照に、一瞬考え込むような表情をしたオスキャルがすぐに激しく頭を左右に振って声を荒げた。――と思ったら、ガッと私の両肩を掴む。どうしたオスキャル、やはり疲れがピークなのか。

「外に出ましょう」
「それだと危険が」
「ここより余程安全です!」
「えぇ?」
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