幽霊姫は止まれない!

第二十二話 灯台下暗しとはこのことか

 そんな一瞬の空中デートをした翌日。
 いつもならミック公爵令息から情報を得るために一緒に参加していた合同訓練を休んだ私は、目敏く観客たちの中から例の令嬢を発見していた。

(ふぅん、こうやって見ると案外観客が多いのね)
 自国ならば彼女たちの視線はソードマスターという肩書を持っているオスキャルが独り占めしているのだろうが、ここは隣国。
 ソードマスターは自国出身の令嬢からしか結婚相手を選べないため、残念ながら彼女たちの視線は集まっている高位貴族の令息たちへと注がれている。どれだけ好条件の相手でも、その先がないのなら熱を向けるだけ無駄ということなのだろう。世知辛い。ドンマイ、オスキャル。

 そんなことを考えながら令嬢たちの方へ歩き、そしてあることに気が付いた。
 ミック公爵令息と一緒にいた令嬢の視線が一心にオスキャルへと注がれていたのだ。

(オスキャルに向けたって無意味なのに)
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