幽霊姫は止まれない!
幕間・二 心配性のお兄様(後編)
(任命式でエヴァに指名された時の嬉しそうに緩んだあの顔! 忘れないからな、オスキャル・スワルドン!)
町に行きたがるエヴァを護衛するという体でデート気分を味わっているアイツは、他の護衛をつけたがらない。
護衛を増やすか何度も聞いたが、『エヴァ様の脱走を止めるのは俺ですら苦労しているんです』だとか『脱走の方法が段々巧妙かつ小賢しくなっているんです、普通の騎士なら逃げられますよ』だとかそんな言い訳ばかりして却下してきた。
そもそもあの可憐な妹が脱走などのお転婆をするはずがない。おそらく庭の花を見たかっただとか散歩して気分転換がしたかったというエヴァの行動を大袈裟に言い、あたかもソードマスターしか対応できないと見せかけてその地位を独り占めしたいに決まっている。そりゃそうだろう、エヴァの護衛騎士だなんて名誉以外に他ならないからだ。
そんな男とふたりきりで隣国だなんて、行かせるわけにはいかない。アイツが一番の敵である可能性だってあるのだから。
「エヴァは留学という形でオスキャルとふたりでの潜入を提案してきたのだが」
「絶対ダメです! そんな、ふたりきりだなんて危険すぎる」
町に行きたがるエヴァを護衛するという体でデート気分を味わっているアイツは、他の護衛をつけたがらない。
護衛を増やすか何度も聞いたが、『エヴァ様の脱走を止めるのは俺ですら苦労しているんです』だとか『脱走の方法が段々巧妙かつ小賢しくなっているんです、普通の騎士なら逃げられますよ』だとかそんな言い訳ばかりして却下してきた。
そもそもあの可憐な妹が脱走などのお転婆をするはずがない。おそらく庭の花を見たかっただとか散歩して気分転換がしたかったというエヴァの行動を大袈裟に言い、あたかもソードマスターしか対応できないと見せかけてその地位を独り占めしたいに決まっている。そりゃそうだろう、エヴァの護衛騎士だなんて名誉以外に他ならないからだ。
そんな男とふたりきりで隣国だなんて、行かせるわけにはいかない。アイツが一番の敵である可能性だってあるのだから。
「エヴァは留学という形でオスキャルとふたりでの潜入を提案してきたのだが」
「絶対ダメです! そんな、ふたりきりだなんて危険すぎる」