幽霊姫は止まれない!
 ウンウンと頷きながら、自身の出した結論に納得する。
(だったら仕方ないわね)
 そして私は改めてそんなオスキャルをじっと見つめ、微笑んだ。

「わかったわ、オスキャル。マナーのことは心配しないで」
「エヴァ、様?」
「もう、また様付けになってるわよ。私のことはエヴァリンと呼びなさい。そして食事は全て、貴方の恋人であるエヴァリンがあーんしてあげるわ」
「……はぁ?」

 解決策はこれだ。オスキャルがマナーを不安がっているならば、そこをフォローするのみである。
 だがこの解決策に自信満々な私に対し、オスキャルはというとどうしてなのかこのよの 終わりのような顔をした。
 どこの令嬢にもあーんして貰ったことがないオスキャルは、どんなものなのか想像ができないのかもしれない。

 ならば実践だ。
 私はすかさず目の前に置かれているケーキをフォークを一口分切り分け、彼の前へと差し出した。

「怖くないわ。ほら、口を開けなさい。あーん」
「いやっ、それはちょっとマナー的に、エヴァ様っ」
< 160 / 570 >

この作品をシェア

pagetop