幽霊姫は止まれない!
「こっちには流し目が美しい俺が映っている! あぁ、その藍色の瞳が俺を惹きつけてやまない、なんなんだこの胸の高鳴りは……!?」
「あーっ、もうだめ、あは、あははははっ、こんな、こんなことって、あははっ、ヒーッヒッヒッ」
「子猫ちゃんは笑い方が少々下品ね。レディならもっと美しく笑わないと、ンフフッ、私みたいに……!」
「ローザだって結局笑ってるじゃない、面白がっているならお互い様よ」

 若干笑いすぎて呼吸困難に陥りかけた私を嗜めるローザに反論する。だが互いに顔は笑っており、自身の顔にうっとりする男と、ひとしきり笑う女ふたりという最低な空間が出来上がってしまった。これは兄たちが見たら完全に説教コースだ。惚れ薬の効果が切れたら、素直にオスキャルへ謝って、一緒に甘いケーキを食べに行こう。

(きっと羞恥心と笑った私への怒りでムスッとしながら食べることになるだろうけど)
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