幽霊姫は止まれない!
「ま、まさか今のオスキャルは……」
「えぇ。惚れてしまったの。鏡に映った自分自身に!」
「あぁ、この濃い茶髪が光を反射し淡く透ける様はまるで麗しいティータイムの紅茶のようだ……っ」
「あはっ、ふ、くふっ、お、オスキャル、あ、貴方最高に面白いわ、魔女の秘薬で叶えたかった願いを叶えてくれてありがとう……!?」
この平和でかつ異常な光景に笑いが込み上げてしまう。もちろんこれが何かしら命の危機に瀕するようなものならば笑ってなどいられないが、魔女の秘薬が惚れ薬ならば、しかも惚れた相手が自分自身ならば何も危険はないだろう。彼が社会的に死ぬ可能性は否定できないが、ここには一か所に長く定住しないというお伽噺のような存在の魔女と、誰しもに忘れられた亡霊、幽霊姫である私しかいないのだからそれも問題にはならないはずだ。
「た、大変だッ」
「こ、今度はどうしたの、オスキャル?」
くふ、くふふと溢れる笑いを必死に耐えながら、何かにハッとしたオスキャルに問う。だが彼は私の声など聞こえていないかのようにスルーし、今の今まで擦り寄っていた鏡から、別の鏡が埋められた壁へと駆け出した。
「えぇ。惚れてしまったの。鏡に映った自分自身に!」
「あぁ、この濃い茶髪が光を反射し淡く透ける様はまるで麗しいティータイムの紅茶のようだ……っ」
「あはっ、ふ、くふっ、お、オスキャル、あ、貴方最高に面白いわ、魔女の秘薬で叶えたかった願いを叶えてくれてありがとう……!?」
この平和でかつ異常な光景に笑いが込み上げてしまう。もちろんこれが何かしら命の危機に瀕するようなものならば笑ってなどいられないが、魔女の秘薬が惚れ薬ならば、しかも惚れた相手が自分自身ならば何も危険はないだろう。彼が社会的に死ぬ可能性は否定できないが、ここには一か所に長く定住しないというお伽噺のような存在の魔女と、誰しもに忘れられた亡霊、幽霊姫である私しかいないのだからそれも問題にはならないはずだ。
「た、大変だッ」
「こ、今度はどうしたの、オスキャル?」
くふ、くふふと溢れる笑いを必死に耐えながら、何かにハッとしたオスキャルに問う。だが彼は私の声など聞こえていないかのようにスルーし、今の今まで擦り寄っていた鏡から、別の鏡が埋められた壁へと駆け出した。