幽霊姫は止まれない!
第四章 その結婚、ちょっと待った!

第三十七話 その話、詳しく!

「ひっさしぶりの、リンディ国へ帰ってきたわよー!」
 暫くオスキャルと隣国へ行っていた私は、久々に帰ってきたことを喜びながら王城へと入る──が、誰も出迎えに来ていないことにキョトンとした。
 いや、出迎えがないのは『幽霊姫』である私からすればそこまで珍しくないのだが。
 
「お父様かお兄様、お姉様たちは……まぁ別として。そのふたりくらいは出迎えてくれると思ったのに」
「国王陛下と王太子殿下ですよ、そのふたりが出迎えにくるってとんでもないことですからね」
「でも誰もいないわねぇ」
「まぁ、溺愛しているエヴァ様なので、陛下か殿下の側近くらいは迎えにこさせているかとは、俺も思ってたのですが」
 門をくぐったところでぽかんと顔を見合わせる。

「暫く留守にしたせいで私だけでなくオスキャルまで幽霊騎士とかになったのかしら」
「え、それちょっと格好いい……じゃなくて。そもそも護衛騎士には迎えは来ません。とりあえず部屋に戻りましょう」
 私たちの荷物を片手で持ち上げたオスキャルの言葉に従い、「忙しかったのかしら」なんて話ながら王城の中へと足を踏み入れた。
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