幽霊姫は止まれない!
 もしいつか必要とあれば、その相手とどれだけいがみ合っていても婚姻という契約を結ぶ。それが王族なのだから。

 そして本当に預言者が現れたのなら、王太子の結婚相手にこれ以上ピッタリな相手もいない。
 この国の更なる発展のため、必ずその力を王家に迎えたいに決まっている。

「ねぇ、預言者ってことは本当なの? どういった流れで結婚が決まったのかしら!」
 私はワクワクとした気持ちを抑えられずに姉たちへ問う。そんな私ににこりと妖艶に微笑んだ姉様たちが、オスキャルへと笑顔を向けた。

「オスキャル、紅茶が飲みたいわ!」
「オスキャル。クッキーも持って来てくれるかしら」
「「いつもエヴァを独り占めしてるんだもの、これくらいいいわよねぇ?」」
「えっ」
 ニマニマとした姉たちからそんなことを言われ、明らかに戸惑いの色を見せるオスキャル。それはそうだろう、彼は護衛騎士。私の侍女ではないのだ、業務外の命令なんて断っても構わない。が。
(姉たちの圧力は怖いものね)
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