幽霊姫は止まれない!
(預言者ですって!? 気になりすぎる!)
 預言とは、神から預かった言葉を述べること。つまりは神託を受ける伝説の存在ということだ。物語上に置いて聖女だとか使徒だとかと称される存在、そんな存在を現実世界で拝めるだなんて、ぶっちゃけ興味しかない。

「そもそも兄様がこの年齢まで婚約者を作らなかったのは相応しい令嬢がいなかったからよ」
「私だって同感だもの。可愛いエヴァの可愛さを理解できない可哀相な頭のお馬鹿ちゃんなんて願い下げだもの」
「姉様たちってば」
 うんうんと頷き合いながら告げられるその内容に思わず苦笑してしまう。

 確かにこの国の貴族令嬢たちから幽霊姫と馬鹿にされていることは否めず、そして私を幽霊姫と蔑む相手を軽蔑している兄姉たちがそんな相手を選ぶわけがないとは私もわかってはいるが、それでも私たちは王族。この国のために適切な時に適切な相手と政略で結ばれるのは義務なのだ。
 そのことは、王太子である兄が一番よくわかっているだろう。
(だからこそ平和な今は特別その必要がなくて婚期を遅らせているだけだと思うけど)
 
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