幽霊姫は止まれない!
 そりゃ護衛中にそばを離れるなんて、護衛騎士なんだから当然許容できることではない。いつものように甘えたことをしてしまった、と少し後悔していると、そんな私を見た姉たちが大きく吹き出してしまう。

「オスキャルは相変わらず不憫だな!」
「そうね。だからオスキャルはこうやってからかわれてしまうのだわ」
「「まぁ、そのうちもっと深い関係になるだろうしこれくらいは予行練習よね」」
 そうしてクスクスと笑いを溢すふたりの姉に私は首を傾げたのだった。

 ◇◇◇

 そんな一幕はあったものの、東屋まで来た私たち。
 オスキャルが厨房から持って来てくれた紅茶とクッキー、そしてサンドイッチを並べてそれぞれが座る。

 もちろん紅茶はよっつ、サンドイッチはふたつ。
 よっつめの紅茶とふたつめのサンドイッチは、私の隣に腰かけるオスキャルの前に並べられている。
 気になるとすれば彼の目が完全に泳いでいることだろう。

(遠慮するオスキャルを座らせるのに苦労したけど、まぁいいわよね)

 王女たちと一介の騎士が同席するわけにはいかないと頑なに拒否しようとしていたオスキャルを無理やり座らせたのは当然私である。
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