幽霊姫は止まれない!
 いつも一緒に並んで座りサンドイッチを食べているから、というのは言い訳だ。いくらソードマスターで、私よりも断然体力があるとはいえ彼も隣国からの旅路から帰ったばかり。しかもいつもより長時間私の護衛として気を張っていたのだ。
 その過酷さは想像に難くなく、そして彼の仕事は今日も夜の就寝時間まで当然続く。

 だから少しでも楽をして貰おうと、最も安全であるだろう王族のプライベート区画にある東屋での会にしたのだ。
 流石に私の自室部屋に姉たちと一緒とはいえオスキャルが長時間滞在するわけにはいかない。そうなれば扉の外で周囲に気を配りながらの立ちっぱなし。だがここならば、周囲に気を配らなくてはならないというのは同じだが、一緒に椅子へ座れる。
 多少ではあるだろうが、その方が身体的に楽かと思ったのだ。

(姉様たちも反対しなかったし、いい案だと思ったんだけど)

 だが、完全に委縮しているオスキャルを見るとこの案もあまり良くなかったかもしれない。
 オスキャルに精神的疲労が溜まりそうだと私は反省し、解散したあとはオスキャルを労わろうとそう心に誓った。

「まずはどこから話すかな」
< 235 / 570 >

この作品をシェア

pagetop