幽霊姫は止まれない!
 ふと気が付いたことをそのまま口にすると、突然オスキャルが自身の胸を押さえその場に蹲った。
 その様子にぎょっとし慌てて駆け寄るが、私がオスキャルに触れる寸前でパッと立ち上がりすぐに後ろを向く。

「危険を察知しました、部屋を出ています」
「えっ、王城内で危険!? ここにはそれぞれの護衛騎士だけでなく近衛騎士たちもいるのに!?」
「そうですね、危険はものすごく近いかもしれないといいますか」
「まぁ! 謀反ってこと!?」
「いえ、反対です。反対ですが、とりあえずエヴァ様は気にせず着替えてください。もうすぐ初出勤の時間です」
「え、えぇ。わかったけど……」
 
 一体彼が何を言っているかさっぱりわからない。
 そんなに近くに危険があるのなら出勤なんてしている場合ではないが、しかしソードマスターの彼が言うのなら問題はないのだろう、と私はそう納得することにした。
 時々オスキャルはちょっと理解しがたい言動をするが、今まで何も問題は起こらなかったのでよしとする。

(それに着替えないといけないことは確かだしね)
 
 オスキャルとは入れ違いで入ってきたメイドたち。
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