幽霊姫は止まれない!
(最初は好印象じゃない相手だからこそ、上手くすればその振り幅でものすごく好印象に持っていけるものね)

 これもいわばひとつの駆け引きというやつだと本で読んだ。
 それに外部からちょっかいをかけるなら、彼女自身の護衛を減らす必要もない。

「好きだから後を追った、という言い訳もできるしね」
「それストーカーって言うんですけど知ってます? むしろダメなやつですよ」
「あら。あんな場所に好きな子が向かっていたら、オスキャルは止めないの?」
「うわ。こういう開き直りが一番恐ろしいんですよ──と言いつつ、俺も、もしエヴァ様があんなバケモンの巣窟へ向かってると思ったら……」

 呆れた顔をして私を嗜めていたはずのオスキャルがあっさりと言いくるめられ、モゴモゴと語尾を小さくしながら何かを呟いているのを聞きながら、私はどう聖女を口説こうかと考えていたのだった。
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