幽霊姫は止まれない!
 威厳を保つために身につけるものは最高級品だし、自然と高価な装飾品が手に入ったりもするが、だからといって全てが自由に欲しいものを買えるわけではなく、また、視察や慰問などでスケジュールは埋まる。

 そういった場にめかしこむことも当然できないので、正直王太子妃を狙うより裕福な子爵家などを探す方が簡単なのだ。
 その方が、より自由に時間もお金も使えるだろう。

(公務をサボってる私が言うことじゃないけど!)
 それでも、王族やそれらに繋がる者たちは制約が多く案外不自由なものなのである。

 期待をしていればしているほどその現実との落差にガッカリとし、しきたりとマナーに固められた清廉と言えば聞こえのいい縛られた生活に辟易するのだ。
 だからこそ、王太子妃、ゆくゆくは王妃となる女性の人格はかなり精査される。妃教育が厳しいのも、ある意味〝ふるい〟と言っても過言ではないだろう。

「でも気になるところもあるのよね……」

 思ったよりも圧倒的に自由が少ないと、妃教育もはじまった聖女だってもう気付いているはずなのに、彼女からのアクションは何もない。
 そのことが気になった。
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