幽霊姫は止まれない!
 聖女は嫌がる素振りもしなければ淡々として学び、そして次の預言もされない。
 預言の聖女として王太子妃の座を願ったのは彼女だ。ならばまた同じように預言すればその生活も改善される。
 何でもいい、神託が降りたとでも言えば、いくらでもこの生活を変えて楽できるのに彼女は大人しく妃教育を受け、贅沢を願うこともなく現状維持を貫いていた。

「それなのに娼館には出向いてるのよね」

 娼婦としての仕事や生活が嫌でこんなだいそれた、一世一代の賭けに出たのかと思えばそうではなく。だからといって妃教育をを疎かにすることもなく。
 全く見えない彼女の真意に憶測すらもままならない。

 それでもヴァルとして聖女へ付きまとった私がひとつだけ導き出した答え。

「聖女は偽物だわ。預言も嘘よ」
 そう、これだけは確定だった。
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