幽霊姫は止まれない!
 きゃんきゃんと騒ぎながら頭を抱えるオスキャルを見ながら、私は今晩のために今からすぐ昼寝に入ることを決意しつつにんまりとした笑みを作ったのだった。

 ◇◇◇

 そうして迎えた夜。
 夜とは言っても今晩は彼女の後をつける必要もないので、日が沈むのを待ってから早々に娼館・夜闇の館へと向かうことにした。
 万が一聖女より早く着いたとしても、こちらは既に予約済みなのだ。それを伝え、待たせて貰えばいい。

(今度はあのバケモ……じゃなくて、オスキャルにトラウマを植え付けた娼婦とのちゅうちゅうプレイを勧められることはないし)

 そう思いつつも、もしまた出会ってしまったら、なんて若干不安になった私だったが、私以上にガタガタと震える格好悪いソードマスターの姿を見て冷静になる。
 自分より怖がったり焦ったりしている人を見ると逆に冷静になる、あの心理を実感しながら娼館に着くと、前回私たちを出迎えてくれたあの男の店員ではなく聖女本人が出迎えてくれた。
 
 私がひとりではなくオスカーと一緒に来たことへ僅かに眉をひそめたものの、流石プロ。
 動揺なんてしていないと妖艶に微笑みながら軽くお辞儀した。
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