幽霊姫は止まれない!
「預言の聖女。いいえ、メイリアン・リストア。貴女の預言が嘘だと、そして貴女の本当の目的を知るために私たちは来たのよ」
 
 ──そしてその幸せな結婚は、嘘の預言で決められていいものではないのだ。

 私のその言葉を聞いた聖女は一瞬困ったような顔をしたあとわざとらしいほど大きなため息を吐く。

「……ま、そうよね。ぎっくり腰で信じて貰えるとは思ってなかったわ」
(それはそう)

 そしてこう言うということは、次の手があったと言うことだろう。
 オスキャルとした予想にどんどん近付く答え合わせに、私は表情を険しくする。

「──貴方は、どれだけ守れるの」

 そう言いながら彼女が視線を向けたのは私ではなくオスキャルだった。

「俺は姫の護衛騎士です、彼女を守るためなら全て救ってみせましょう」
「ふぅん、そう」

 自分から聞いたくせにさも興味なく目を瞑った聖女は、両手のひらを筒状にして自身の耳へと当てる。
 その瞬間オスキャルが私の腕を強く引き背後へと庇った。どうやら本当に彼女には何らかの魔力があるらしい。

 緊張が張り詰めたが、聖女はそのまま動かない。
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