幽霊姫は止まれない!
 チラッとオスキャルの方に視線を戻すと、そんな私とは対照にまだ私の瞳に映った自分の姿が恋しいのか未練がましく私の瞳をジッと見つめていた。

 そんな彼に脱力し、つい笑ってしまう。早く彼を元に戻してあげなくては、元へ戻った時に彼が羞恥心で死んでしまうかもしれない。
(材料集めに出た時はあんなに不安だったのに)
 ひとりで出掛けることが不安なのかと思っていたが、どうやら〝オスキャル〟がいないことが不安だったらしい。
「ほら。次の材料を採りに行くわよ!」
 フンッと鼻を鳴らしてそう告げると、渋々立ち上がったオスキャルが私の斜め前に立つ。どんな襲撃にも対応できるようにという護衛特有の配置だとはわかっていたが、私はそんな彼の隣に無理やり並んで歩き出したのだった。

 オスキャルが合流してくれたお陰で材料集めは順調だ。ローザに渡された図解書に載っているもののうち、十五個が既に集まっている。
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