幽霊姫は止まれない!

第六十二話 最初の感染者は誰なのか

 〝依存〟という言葉にドキリとする。
 一時的にどこかへ手を差し伸べ助けても、根本を解決しなくては意味がないだろう。
 それどころか一度始めてしまえば解決するまで終われない。

 一度だけ、というのは結局その場限りのものであり状況を変えるほどではないからだ。

「私も、私の出身の孤児院だからって理由で寄付してるの。これでもナンバーワンだからね、あと二、三ヵ所くらいなら寄付できるとは思うんだけど……でも、全部は無理だから」
 そこで言葉を区切った聖女に今度は私が頷いた。
 継続できるかわからない寄付、そして手を差し伸べられなかった孤児院からの反感。それらすべてのリスクを考えると、『大義名分』というのは必ず必要なのだということは私が一番よく知っている。

(きっと彼女が短期間で高額の給与を欲してこの仕事を選んだのは、その弟妹たちのためなのね)
 そしてそんな弟妹たちのために、王太子である兄上に直接助けを乞うため厳しい妃教育にも耐え、大人しく過ごしていたのだろう。
 そしてその結果、都合よく現れた私たちに助けを求めたのだ。
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