幽霊姫は止まれない!
 まぁいいんですけど。と呆れ口調で言われ俯いてしまう。彼女の全てをかけた計画を、まさか私が邪魔してしまっていたとは。

「で、でも安心して!? この責任を取って、私とオスキャルも、そしてお兄様へももちろん話を通すわ。お姉様たちにも!」
「それにはまず確定した情報を精査しないとですね」
「確定した情報?」
 話しながらオスキャルの視線を追うと、その先は特効薬だった。

 確かにもし特効薬の中身が偽物なら、それこそ大混乱になるだろう。
(そうなると、もしかしたら薬を偽ったと聖女が罰を受けるかもしれないわね)

 もしかしたらそれが狙いなのかも、なんて一瞬頭に過る。だが──

「ちなみに中身は本物よ。私、味見したもの」
「味見したですって!?」
「ちょ、毒の可能性もあるかもしれないのに!?」
 そのあまりにも大胆な発言に私とオスキャルが思わず顔を見合わせる。完全に引いた顔のオスキャルに苦笑するが、きっと私も同じような顔をしているだろう。
 そんな私たちに少し焦ったように聖女が両手を顔の前で振った。
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