幽霊姫は止まれない!

第七十話 エルフの彼と、その伴侶

「これ以上は認められません!」
「オスキャル」
「追いかければ今度こそアイツのテリトリーです。危険があるかもしれない場所へ、エヴァ様を行かせるわけにはいきません」
「大丈夫よ」
「さっきからどうしてそう言い切れるんですか!」
 切羽詰まったように声を荒げるオスキャルにドキリとする。

「もし一方的に害したいなら、こんなまどろっこしいやり方をするはずがないからよ」
「恨みから苦しむ姿を見たいだけかもしれないでしょう!?」
「そうね。その可能性もあるし、もしそうだったら国は混乱に陥るでしょう。でも、オスキャルが言ったんじゃない」
「?」
「もし自分なら、自分を一番許せないって」
「……!」

 『俺なら、俺を一番恨むと思います』
 それは、確かにオスキャルが私に教えてくれた答えだった。

「きっと、薬を聖女に譲ったことは後悔してないわ。でも、自分を責めているんだと思う。どこにも向けられないやるせなさをぶつけてるだけなのよ。だから、薬だって本物だったでしょう」
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