幽霊姫は止まれない!
三か月という猶予を与えたのは、きっと薬を準備する時間なのだろう。もちろん確証があるわけではないが、もし少ない薬を取り合わせたいならわざわざ聖女を仕立て上げてこの国で権力のある人物に差し出すはずがない。
それに王太子相手というのも気になっていた。権力だけでいえば兄よりも父、この国の国王がいるのだ。
(それでもお兄様を選んだのは、きっとお母様が亡くなっているからだわ)
私の出産時に亡くなったこの国の王妃。〝伴侶を亡くした〟父に付け込むことはできなかったのだ。彼も、同じだから。
「最初から国を脅かすことなんてしたくなかったのよ。遅かれ早かれこの国にも流行り病はやってくるわ。薬になる材料をもう焼き払わないようにの警告をくれたんだと思う」
回りくどいやり方だが、森に住んでいる相手が突然現れ、そう訴えたとして誰が信じるのだろう。薬を譲ってもらった聖女たちなら信じるだろうが、彼女たちにも国をすぐに動かすほどの力はない。それこそ王太子妃という立場にならなければ、預言の聖女なんて大それた偶像を作り上げなければその声が届くのに時間を有してしまうのだ。
(悲しいけれど、それが現実)
それに王太子相手というのも気になっていた。権力だけでいえば兄よりも父、この国の国王がいるのだ。
(それでもお兄様を選んだのは、きっとお母様が亡くなっているからだわ)
私の出産時に亡くなったこの国の王妃。〝伴侶を亡くした〟父に付け込むことはできなかったのだ。彼も、同じだから。
「最初から国を脅かすことなんてしたくなかったのよ。遅かれ早かれこの国にも流行り病はやってくるわ。薬になる材料をもう焼き払わないようにの警告をくれたんだと思う」
回りくどいやり方だが、森に住んでいる相手が突然現れ、そう訴えたとして誰が信じるのだろう。薬を譲ってもらった聖女たちなら信じるだろうが、彼女たちにも国をすぐに動かすほどの力はない。それこそ王太子妃という立場にならなければ、預言の聖女なんて大それた偶像を作り上げなければその声が届くのに時間を有してしまうのだ。
(悲しいけれど、それが現実)