幽霊姫は止まれない!
 病の研究で管理していたものを誤って落とし、うっかり感染してしまった私を治療したと言えばそれで済む。

「それでいい」
「そう。わかったわ」
 だが彼がそう言うのならば、と私はそのまま彼の提案を受け入れた。
 その様子にオスキャルがホッとした表情をする。

「お墓、手配しましょうか」
 余計なお世話かと思ったが、そう提案する。見た限り彼女の墓などはなさそうだったからなのだが、けれど私の提案はあっさりと断られた。『彼女は自由な人だから』ということらしい。

(そういう関係も素敵ね)

 こうして、この偽聖女事件と兄の結婚話は終幕を迎えたのだった。
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