幽霊姫は止まれない!
 もしかしたら騎士の道は閉ざされ、市井に捨てられるのかも、なんて思ったから。

 そんな絶望しかないのに自由だなんて表現され、苛立た。だが、彼女は尚も口を開く。

「もうひとつに決めてるの?」
「決めてるっていうか……決まってるっていうか。君にはわからないよ」
「あら。確かにどんなことがあなたに決定づけられているのかはわからないけれど、私にもわかることくらいあるわよ?」

 何を言い出すのだろう。期待したわけではないが、興味は引かれ、不機嫌さを前面に出していた俺は口を閉じた。

「選べる未来はひとつでも、そのひとつを無限にだってできるの」
「ひとつなのに、無限?」
「えぇ。答えはひとつでも辿り着く道は沢山あるのよ! そして同じ答えでも、その通った道によって全然見え方も変わるはずだわ!」
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