幽霊姫は止まれない!
 こんな私に選ばれてしまった彼を幸せにしてくれる相手を見つけ、幸せな家庭を作って欲しいと思う。だがオスキャルがオスキャルを好きなら、他の人が入り込む隙はない。例え私が彼の前から消えたとしても――
「?」
 一瞬過った言葉は形になる前に消えた。それがどうしてなのかはわからなかったけれど。
「……うん。やっぱり私は解毒薬、欲しいわ。最後の材料を見つけたのなら諦めたくない」
 わからない疑問に全て蓋をした私は、そう答えを出した。その答えが正解かはわからないが、それでも矛盾する思考の中の、一番上にある感情だったからだ。これがエゴでも、もういいや。
「わかりました。でも、真正面からじゃ厳しいですね」
 私のその言葉を静かに聞いたオスキャルがあっさりと頷いてくれる。そのことに安堵しつつ、私は再び口を開いた。
「ゴーレムの頭上の花を摘むのは、身体能力的に私では出来ないわ。だからオスキャルが摘んで」
「わかりました」
「でも、ひとりでタイミングを狙うのは難しいでしょ。だから私が囮になるわ」
「却下です」
「今のも頷く流れでしょ!?」
「ここで頷くやつ、護衛騎士クビですよ!」
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