幽霊姫は止まれない!
「といっても、あまり私は活発ではないから、そんなに護衛の機会はないかもしれないわ。もちろん近衛騎士も巡回してくれているから、部屋の前で待機しておく必要もない。空いた時間は訓練でも何でも好きに過ごしてね」
「か、畏まりました……!」

 王太子殿下へも向けた、あの可愛らしい笑顔が自分にまで振り撒かれ頬が一気に熱くなる。
 そしてこんなに可憐な方を守れる騎士に選ばれたことに、喜びが溢れ出る。

 確かに噂通りならそこまで出掛ける機会はないかもしれないが、それでも幼い時の彼女は元気に走り回っていた。
 ならば、ずっと部屋にだけいるのは辛いかもしれない。

(訓練以外の空いた時間は、殿下の喜びそうなものを探そう)
 知的な彼女がまだ読んだことのない本を探し、可憐な彼女に似合う花を届け、彼女の瞳のように美しく輝く景色が見れる場所を探すのだ。

 そうすれば、彼女と一緒に出掛けられるかもしれない。
(いつか、彼女が嫁ぐその日まで)

 護衛として、彼女に少しでも笑顔が溢れる日々を、心穏やかに過ごせる日々を守るのだと、当時十九歳だった俺はそう決意したのだ。
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