幽霊姫は止まれない!

第八十三話 詐欺行為と唯一の、不憫枠

 そんな任命式から三年。
 あの日の感動は別として、わかったことはたくさんあった。

 まず、あの日のエヴァ様が言った内容がほぼ嘘だと言うことである。

(なぁにが、滅多に外に出ないだ……!)

 確かに末姫・エーヴァファリンとしては出掛けていないかもしれないが、毎日毎日繰り返される脱走劇。

 護衛を俺だけにしたのは単純な戦力過多が理由だとしていてが、実際は三人もいたら抜け穴が完全にゼロになるからだ。
 いくらソードマスターでも多数の出口をひとりでは守りきれない。

 多数の敵を圧倒することは出来ても、そもそもの敵が護衛対象なのだ。
 あの手この手で俺を騙し、隙をついて街へと遊びに行こうとする。

 任命式の時に彼女は休みが多いことを申し訳なさそうにしていたが、むしろ休日すらも返上で見張らねばならず──まぁ、それはそれで、エヴァ様に会えるから別にいい──というのはここだけの話だが。

 とにかく彼女はお転婆だった。むしろ威力が増していた。

 聡明というより小賢しい手で抜け出し、可愛らしい笑顔が武器だと気付いていて効果的に使ってくる。
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