幽霊姫は止まれない!
「恋人として過ごすでもいいし、お前の言う通り恋人になれないとしても、だ。ただ、告げるだけならいいんじゃないか。もう知られてしまっている想いを、自分の言葉で伝えたくはないのか?」
「勝手にバラしたやつがよく言えたな」

 至極当然と言わんばかりに言い切った、勝手に気持ちをバラした張本人をジトッと睨む。
 バレバレだったとしても、口にさえしなければそれは『なかったこと』として見逃され、存在しないはずだった気持ち。

 だが、それを他人から暴露され『なかったこと』と目を瞑って貰えなくなってしまったのだ。

(なら、せめて俺の言葉で伝える、か……)

 多少でもエヴァ様が同じ気持ちを抱いている。だが、それでもやはり俺たちの未来は交わらない。

 それでも、好きだと想いを告げるだけなら──

(一生告げることはないと思っていたけど)

 西の魔女ローザの作った秘薬で護衛のために体を張ってくれたエヴァ様。隣国からの求婚状を見て、そして実際の彼女に惹かれるミックの登場で改めていつ誰に嫁ぐことになってもおかしくないのだと思わされた。
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