幽霊姫は止まれない!
第八十四話 あり得ないけれど、もしも叶うなら
(確かに、両想いなら……。俺の思い出だけじゃなく、エヴァ様の思い出にも、なる、のか?)
これから先、いつかの未来。
好きではない相手と国のために結婚する彼女の、最後の自由になれる時間。
自分の想いを優先させても許される、その時間を、恋人として──……?
「……いや、エヴァ様は、期間限定の恋人なんて不毛な存在は絶対求めないよ」
事実ではないことすら国中を駆け巡る。それがもし少しでも心当たりのあることならば尚更だ。
噂を効率よく便利に使い、そして王族だからこその責任を誰よりも重んじている彼女なら、噂の種火すら絶対に作らない。
「告げるだけ無意味、いや、むしろ迷惑になる」
わかっている事実を淡々と告げると、アルフォードが首を傾げる。
「告げることが無意味なわけないだろう。相手も自分を愛しているのだと言葉で知るだけで強くなれるのが生き物というやつだ」
「知るだけで?」
これから先、いつかの未来。
好きではない相手と国のために結婚する彼女の、最後の自由になれる時間。
自分の想いを優先させても許される、その時間を、恋人として──……?
「……いや、エヴァ様は、期間限定の恋人なんて不毛な存在は絶対求めないよ」
事実ではないことすら国中を駆け巡る。それがもし少しでも心当たりのあることならば尚更だ。
噂を効率よく便利に使い、そして王族だからこその責任を誰よりも重んじている彼女なら、噂の種火すら絶対に作らない。
「告げるだけ無意味、いや、むしろ迷惑になる」
わかっている事実を淡々と告げると、アルフォードが首を傾げる。
「告げることが無意味なわけないだろう。相手も自分を愛しているのだと言葉で知るだけで強くなれるのが生き物というやつだ」
「知るだけで?」