幽霊姫は止まれない!
 そう言って頷き合った私たち。私がその場から走り出したのを見て、ゴーレムの頭上という高さを狙うためにオスキャルが木の上へと飛び上がった。オーラを纏って身体強化をしたのだろう、染まりキノコを得るために頑張って私が一歩ずつ登った高さをたった一飛びで超えたオスキャルが、ゴーレムの足音がする方へと体を向けた。
 ゴーレムは気配を察知して動いているようだった。騒ぎの音に反応し現れたので、それは間違いないだろう。
(だからきっと、木からゴーレムへ飛び移る瞬間の音に反応してくるはずよ)
 どんなに優れた人間でも空中で攻撃をされたら避けることはできない。いくら身体強化をしていても、あの大きさのゴーレムの攻撃をまともに食らえば無傷とはいかないだろう。だから。
「ごめんね、オスキャル」
 私はそう小さく呟いて、ぐるりと方向転換をし、今度はゴーレムの方へまっすぐ走り出した。
< 49 / 570 >

この作品をシェア

pagetop