幽霊姫は止まれない!
 半ば強制的に話を戻すと、少し怪訝な顔をしつつも頷いてくれる。私がこれ以上オスキャルの話をしたくないと察してくれたらしい。

(気持ちが露見した以上、もう一緒にいられないもの)
 傷の舐めあいをオスキャルとするなんて絶対ごめんだ。彼には、誰よりも幸せになって欲しいのだから。

「第一条件は、国の為になる相手。あとできれば……魔力の有無を気にしない方だと嬉しいのです。私が一番ではなくて構わないので」
 王族なのに魔力を持っていない私はそれだけで嫌悪される可能性がある。国同士の繋がりを強める意味で拒絶されることはないだろうが、嫁いだあとは冷遇されるかもしれない。
 もちろん魔力なしで生まれたのだから、それくらいは覚悟しているが、それでもやはりあわよくば魔力が無くても受け入れると言ってくれる相手がいいというのは正直な本音だった。
 
(別に王妃になりたいわけでも第一夫人になりたいわけでもないし)
 我がリンディ国は一夫一妻制だが、そうではない国もある。第二、第三夫人あたりなら魔力がなくても許されるのでは、という淡い期待をしていた私に兄から投げられたのは、予想外の言葉だった。
< 501 / 570 >

この作品をシェア

pagetop