幽霊姫は止まれない!
私の返事を聞き、ニッと笑ったサイラスが今度はホールの中央へと向かうべく私の手を引く。その手の強引過ぎない強さに委ねて彼と寄り添って歩き出すと、ショックを受けたような兄の呻き声が漏れ聞こえた。そしてそれはサイラスにも聞こえたのだろう。
とうとう我慢できず、ぷはっと噴き出し、振り返る。
「エヴァの足を踏むようなへまはしないから安心してくれ、お義兄サマ?」
「お義兄……っ、いや、エヴァ!? おまっ、いつの間にそんな!」
「あはははっ、アルゲイドも誰かと一緒にホールへ出たら、近くで見張れるぞ~?」
「くっ、それが難しいんだ、サイラスめ」
(お兄様から誘うと期待を持たせすぎちゃうものね)
王太子からダンスを申し込まれると、それだけでステータスになる。しかも婚約者がいまだにいない、結婚適齢期を過ぎたくらいの年齢の王太子からの誘いならば、尚更社交界の噂の的になるだろう。
うっかりすると、婚約の申し込みがされただなんてレベルまで話を膨らませられて噂を流されかねない。そうしないためには、全ての令嬢と平等に踊るか、誰とも踊らないかの二択。
とうとう我慢できず、ぷはっと噴き出し、振り返る。
「エヴァの足を踏むようなへまはしないから安心してくれ、お義兄サマ?」
「お義兄……っ、いや、エヴァ!? おまっ、いつの間にそんな!」
「あはははっ、アルゲイドも誰かと一緒にホールへ出たら、近くで見張れるぞ~?」
「くっ、それが難しいんだ、サイラスめ」
(お兄様から誘うと期待を持たせすぎちゃうものね)
王太子からダンスを申し込まれると、それだけでステータスになる。しかも婚約者がいまだにいない、結婚適齢期を過ぎたくらいの年齢の王太子からの誘いならば、尚更社交界の噂の的になるだろう。
うっかりすると、婚約の申し込みがされただなんてレベルまで話を膨らませられて噂を流されかねない。そうしないためには、全ての令嬢と平等に踊るか、誰とも踊らないかの二択。