幽霊姫は止まれない!
 異性に対するドキドキがあるかと聞かれれば正直否だが、不快感はなく、むしろ落ち着く気持ちすらある。やはり兄の友人ということが大きいのか、系統は違うが兄のような親しみやすさを感じた。

「この後はどういった場所がいいとかの希望はありますか?」
「そうだなぁ、エヴァの、俺と共有してもいい思い出の場所とか気になるかも」
 わざわざ共有、という言い方をしてくれることに彼の優しさを実感する。

「では、高台はいかがでしょうか。王都を一望できますし」
「いいね! この間は空を見上げたから、今度は空から見下ろしてみようか」

 繋いだままの手は少し気になったけれど、あえて離す必要も感じなかったのでそのままで歩き出す。
 高台へと向かう石畳を歩いていると、広場の噴水の近くで子供たちが遊んでいた。

 その子供たちの様子を微笑ましく見ていると、私たちが手を繋いでいたからだろう。ひとりの男の子が目敏く見つけて、私たちを指差した。

「手ぇ繋いでるー! ケッコンだ、コドモができんだぜぇ!」
「んなっ!?」
「お姉ちゃん知らねぇの? 手を繋いだら子供ができるって父ちゃんが言ってたぞ!」
「こ……っ、どもは!」
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