幽霊姫は止まれない!
第十話 さぁ、帰りましょう
「解毒薬、必要ならもうワンセット採りに行ってもいいわよ?」
「いいえ、遠慮しておくわ。私が飲んだのは試作品でとっくに効果は切れているもの」
「え! 効果が切れてるの!?」
「私は『飲んだ』と言っただけで『本物』じゃないとは言ってないわよ?」
「あぁ……。なるほど、本物だったのね」
含みを持たせたようなローザの言葉に苦笑する。つまり彼女は本物のナルシストだった、ということだろう。
思えば集めた材料だって十六種類。そして解毒薬作りに使用されたのはその中の二種類だけだ。
(そういえば図解書を渡されて、材料だって言われたけど、全て解毒薬の材料だ、とは言われてなかったわ)
あんなに苦労して採った染まりキノコも、結局解毒薬の材料としては出番なし。どうやら私は最初から最後まで彼女の手のひらで転がされていたのだ。流石、お伽噺の魔女様である。
「じゃあ魔女の秘薬の効果が絶対、っていうのも眉唾物ってことかぁ」
決して口に出すつもりはなかったのだが、ついポロッと言ってしまった私が慌てて口を押さえる。チラッとローザの様子を窺うが、私のその失言を聞き流してくれたらしくただにこりと微笑まれただけだった。
「いいえ、遠慮しておくわ。私が飲んだのは試作品でとっくに効果は切れているもの」
「え! 効果が切れてるの!?」
「私は『飲んだ』と言っただけで『本物』じゃないとは言ってないわよ?」
「あぁ……。なるほど、本物だったのね」
含みを持たせたようなローザの言葉に苦笑する。つまり彼女は本物のナルシストだった、ということだろう。
思えば集めた材料だって十六種類。そして解毒薬作りに使用されたのはその中の二種類だけだ。
(そういえば図解書を渡されて、材料だって言われたけど、全て解毒薬の材料だ、とは言われてなかったわ)
あんなに苦労して採った染まりキノコも、結局解毒薬の材料としては出番なし。どうやら私は最初から最後まで彼女の手のひらで転がされていたのだ。流石、お伽噺の魔女様である。
「じゃあ魔女の秘薬の効果が絶対、っていうのも眉唾物ってことかぁ」
決して口に出すつもりはなかったのだが、ついポロッと言ってしまった私が慌てて口を押さえる。チラッとローザの様子を窺うが、私のその失言を聞き流してくれたらしくただにこりと微笑まれただけだった。