幽霊姫は止まれない!
 溢れる笑みのままそう告げると、私たちを傍観していたローザがふぅん、と紅い唇に指をあてながらそんなことを言う。
「まぁ、そうね。あの自分大好きなオスキャルも、なんだかんだでオスキャルなんだと思ったけど、やっぱりこっちのオスキャルの方が落ち着くのは確かだわ」
「なんだかんだでオスキャル、ね……。ま、〝本物〟に薬は勝てないって証明かしら」
「ちょ、魔女殿!」
 さっきまで地面にうずくまり嘆いていたオスキャルがギシッと固まった。そして慌てたように声を上げる。その様子に思わず首を傾げると、くすりと笑ったローザが私の横にスッと立った。
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