幽霊姫は止まれない!
「君のような麗しいレディをエスコートする機会がいただけるなら、誰からの嫉妬の視線にも耐えましょうぞ」
「ふふっ、適当すぎですよ」
完全に演技の声色で冗談めかしながら差し出された手の自身の手を重ねる。
「私でよければ、喜んで」
「ん。ありがと」
くしゃりとした笑みを浮かべたサイラスが、そのまま私の手を握る。軽く指先を弄ぶように触れながら、私たちは手を繋ぎ高台を後にしたのだった。
◇◇◇
「返事、しなきゃよね」
自室のベッドに寝転がり、そんなことを呟く。
「というかそもそも、どうしてすぐに返事しなかったのかしら」
彼以上に条件の合った相手なんていないことは、理解していたというのに。
(しかも、サイラス様の方から申し込んでくださったのに)
王族なのに魔力なしで生まれた私は、他の誰よりも価値が低い。
だからこそ、国のためになるならどんな相手でも構わないという覚悟はしていた。
とは言っても、シスコンの兄や溺愛してくれている父が劣悪な相手をあてがうとは思えなかったけれど──そんなすべての可能性を外しても、サイラス・オルコットという人物はこれ以上ない相手だったのに。
「ふふっ、適当すぎですよ」
完全に演技の声色で冗談めかしながら差し出された手の自身の手を重ねる。
「私でよければ、喜んで」
「ん。ありがと」
くしゃりとした笑みを浮かべたサイラスが、そのまま私の手を握る。軽く指先を弄ぶように触れながら、私たちは手を繋ぎ高台を後にしたのだった。
◇◇◇
「返事、しなきゃよね」
自室のベッドに寝転がり、そんなことを呟く。
「というかそもそも、どうしてすぐに返事しなかったのかしら」
彼以上に条件の合った相手なんていないことは、理解していたというのに。
(しかも、サイラス様の方から申し込んでくださったのに)
王族なのに魔力なしで生まれた私は、他の誰よりも価値が低い。
だからこそ、国のためになるならどんな相手でも構わないという覚悟はしていた。
とは言っても、シスコンの兄や溺愛してくれている父が劣悪な相手をあてがうとは思えなかったけれど──そんなすべての可能性を外しても、サイラス・オルコットという人物はこれ以上ない相手だったのに。