幽霊姫は止まれない!
小さく呟き立ち止まった私を不思議そうにオスキャルが振り返る。そんな彼になんでもない、と首を振った私はすぐにまた歩き出した。
◇◇◇
「その感情が独占欲だって、子猫ちゃんは最後まで気付かなかったわね」
薔薇のような赤い髪をバサリと右手で大きく払い、砕けてしまったゴーレムへ手をかざし魔力を流す。ガラガラと小石のようになっていたゴーレムは、魔力が流れた部位から形を取り戻しあっという間に元の巨大な泥人形へと変化した。
「黒歴史、なんて嘆いていたけれど、気付いているのかしら。元の彼がいいと危険を顧みず自ら材料集めに出るだなんて、特別だって言っているようなものなのに」
そう言って今度は紅で彩った唇を三日月型にし、再び自動で動き始めたゴーレムに背を向ける。白い壁や飾り枠の窓、柱にも模様が描かれているまるで貴族の邸宅のようなその家の玄関へと向かった彼女は、フッとどこか可笑しそうに鼻で笑った。
「ほら。言ったでしょう? 魔女の秘薬は『絶対』だって」
――そんな言葉を残して。
◇◇◇
「その感情が独占欲だって、子猫ちゃんは最後まで気付かなかったわね」
薔薇のような赤い髪をバサリと右手で大きく払い、砕けてしまったゴーレムへ手をかざし魔力を流す。ガラガラと小石のようになっていたゴーレムは、魔力が流れた部位から形を取り戻しあっという間に元の巨大な泥人形へと変化した。
「黒歴史、なんて嘆いていたけれど、気付いているのかしら。元の彼がいいと危険を顧みず自ら材料集めに出るだなんて、特別だって言っているようなものなのに」
そう言って今度は紅で彩った唇を三日月型にし、再び自動で動き始めたゴーレムに背を向ける。白い壁や飾り枠の窓、柱にも模様が描かれているまるで貴族の邸宅のようなその家の玄関へと向かった彼女は、フッとどこか可笑しそうに鼻で笑った。
「ほら。言ったでしょう? 魔女の秘薬は『絶対』だって」
――そんな言葉を残して。