幽霊姫は止まれない!
第百三話 導くのは
いざ、挨拶へ! そう気合を入れ、足を踏み出した私と目が合ったはずのノルベルト公爵が、くるりと踵を返し私たちに背を向ける。
「は?」
まさに敵前逃亡、とでも言わん姿に愕然とした私だが、固まる私の腰をさりげなく支えたサイラスが、その場に残った夫人へと軽く会釈した。
「本日はお招きくださり誠にありがとうございます。流石、由緒あるファッシュ公爵家の夜会ですね。飾り付けの細部までこだわりが見えて、勉強になります」
「まぁ! こちらこそオルコットの王子殿下に足を運んでいただけるだなんて、光栄でございますわ。それにご一緒されてる――」
「あっ、えっと。その、今までご挨拶する機会がなくてごめんなさい。こうしてお話できて嬉しいわ。サイラス様のおっしゃる通り、本当に素敵な夜会ね」
ノルベルト公爵に意識を持っていかれていた私が慌てて挨拶を口にすると、先にサイラスがにこやかな雰囲気を作ってくれていたからか、夫人も私へと優し気な笑顔を向けてくれてホッとした。
(夫人には罵倒されなかったわ)
「は?」
まさに敵前逃亡、とでも言わん姿に愕然とした私だが、固まる私の腰をさりげなく支えたサイラスが、その場に残った夫人へと軽く会釈した。
「本日はお招きくださり誠にありがとうございます。流石、由緒あるファッシュ公爵家の夜会ですね。飾り付けの細部までこだわりが見えて、勉強になります」
「まぁ! こちらこそオルコットの王子殿下に足を運んでいただけるだなんて、光栄でございますわ。それにご一緒されてる――」
「あっ、えっと。その、今までご挨拶する機会がなくてごめんなさい。こうしてお話できて嬉しいわ。サイラス様のおっしゃる通り、本当に素敵な夜会ね」
ノルベルト公爵に意識を持っていかれていた私が慌てて挨拶を口にすると、先にサイラスがにこやかな雰囲気を作ってくれていたからか、夫人も私へと優し気な笑顔を向けてくれてホッとした。
(夫人には罵倒されなかったわ)