幽霊姫は止まれない!
ひとりにしてしまうことは気がかりだったが、ここは公爵家。警備の面でも安心だから、と私はサイラスの腕から手を引き抜いた。
「エヴァちゃ……」
「ごめんなさい、少しだけ!」
彼に謝罪をし、ノルベルト公爵の後を目で追う。どこか焦ったような私を公爵夫人が少し驚いた顔で見ていたが、私の視線の先が公爵だと気付いたからか、挨拶の途中で行こうとする私を咎めることはしなかった。
そのことに安堵し、駆け出す。だが、そんな私の手をパシッとサイラスが掴んだ。
「サ、サイラ……」
「行こう!」
「え?」
そして私の手を引いたまま彼までも走り出す。
(な、なんで)
ノルベルト公爵の話を聞き、顔繋ぎをするのが目的だから?
いや、わざわざ追いかけなくても夫人と知り合ったのなら後日いくらでも、それこそ夜会なんて誰が聞いているかわからない場所ではなく、改めての接触だっていくらでもできるはずだ。
(私の、ため?)
ドレスの私が転ばないように気を付けながら、力強く手を引き走る。そんな彼の背中を、私は走りながら見つめていた。
◇◇◇
「ごめん、見失ったかも」
「エヴァちゃ……」
「ごめんなさい、少しだけ!」
彼に謝罪をし、ノルベルト公爵の後を目で追う。どこか焦ったような私を公爵夫人が少し驚いた顔で見ていたが、私の視線の先が公爵だと気付いたからか、挨拶の途中で行こうとする私を咎めることはしなかった。
そのことに安堵し、駆け出す。だが、そんな私の手をパシッとサイラスが掴んだ。
「サ、サイラ……」
「行こう!」
「え?」
そして私の手を引いたまま彼までも走り出す。
(な、なんで)
ノルベルト公爵の話を聞き、顔繋ぎをするのが目的だから?
いや、わざわざ追いかけなくても夫人と知り合ったのなら後日いくらでも、それこそ夜会なんて誰が聞いているかわからない場所ではなく、改めての接触だっていくらでもできるはずだ。
(私の、ため?)
ドレスの私が転ばないように気を付けながら、力強く手を引き走る。そんな彼の背中を、私は走りながら見つめていた。
◇◇◇
「ごめん、見失ったかも」