幽霊姫は止まれない!
第百四話 守護者
「ノルベルト公爵!」
顔を向けると、そこには眉をひそめたノルベルト公爵がこちらを見ている。
怒りを滲ませたその表情に思わず怯むと、さりげなくサイラスが私を庇うように一歩前へ出た。
「実は挨拶もできないままだったので、公爵のあとを追いかけたんですが……。慣れない場所だったせいでこんなところまで迷い込んでしまったみたいで」
「……」
穏やかな声色で説明をするサイラス。そんな彼のたくましい背中に、私は情けなさでドレスの裾を強く握った。
(ここまで連れて来てもらって、まだ庇わせるの?)
何も悪くない彼が私に謝罪し、何も関係のない彼が私を庇うように公爵と相対する。
馬車では私が彼を守るくらいにならなくちゃ、なんて思っていたはずなのに、このてたらくだ。あまりの情けなさに思わず俯いてしまう。
「手間をかけてしまうのだが、ホールへの道を教えて貰えないか」
「……」
「宰相である公爵には既に一度、王城で会っているが、改めての自己紹介はいるだろうか?」
「……」
「……ノルベルト公爵?」
顔を向けると、そこには眉をひそめたノルベルト公爵がこちらを見ている。
怒りを滲ませたその表情に思わず怯むと、さりげなくサイラスが私を庇うように一歩前へ出た。
「実は挨拶もできないままだったので、公爵のあとを追いかけたんですが……。慣れない場所だったせいでこんなところまで迷い込んでしまったみたいで」
「……」
穏やかな声色で説明をするサイラス。そんな彼のたくましい背中に、私は情けなさでドレスの裾を強く握った。
(ここまで連れて来てもらって、まだ庇わせるの?)
何も悪くない彼が私に謝罪し、何も関係のない彼が私を庇うように公爵と相対する。
馬車では私が彼を守るくらいにならなくちゃ、なんて思っていたはずなのに、このてたらくだ。あまりの情けなさに思わず俯いてしまう。
「手間をかけてしまうのだが、ホールへの道を教えて貰えないか」
「……」
「宰相である公爵には既に一度、王城で会っているが、改めての自己紹介はいるだろうか?」
「……」
「……ノルベルト公爵?」