幽霊姫は止まれない!
第百五話 私が、私であるように
もういない、自ら突き放して手放した人に背中を押されるなんて。
滑稽な自分に思わず笑みが零れる。
(でも、これでいいわ)
笑ったからか、一気に体から力が抜ける。
息苦しくて堪らなかったのに呼吸が楽になり、視界が開けたように感じた。
「サイラス様、私、もう大丈夫です」
「エヴァ」
ずっと前に出て庇ってくれていたサイラスへと作り物ではない笑みを向ける。私のその様子を見て、一度口を開いたサイラスはそれ以上なにも言わなかった。見守ることにしたらしい。
(私は、本当にもう大丈夫だもの)
思い出したのだ、自分という人間を。
思い出したのだ、味方だった人の存在を。
そんな彼が好きだと言ってくれた私で、最後までいたいから。
「私、謝らなくちゃいけないって思ってました。ノルベルト公爵の姉を奪い、殺したのは私だからって」
ずっとずっと引け目に思っていたのだ。
全て私が悪いのだと、私がいなければ悲しむ人がいなかったのに、と思っていたのだ。
(でも、私がいなかったら泣いてくれる人がいっぱいるんだったわ)
滑稽な自分に思わず笑みが零れる。
(でも、これでいいわ)
笑ったからか、一気に体から力が抜ける。
息苦しくて堪らなかったのに呼吸が楽になり、視界が開けたように感じた。
「サイラス様、私、もう大丈夫です」
「エヴァ」
ずっと前に出て庇ってくれていたサイラスへと作り物ではない笑みを向ける。私のその様子を見て、一度口を開いたサイラスはそれ以上なにも言わなかった。見守ることにしたらしい。
(私は、本当にもう大丈夫だもの)
思い出したのだ、自分という人間を。
思い出したのだ、味方だった人の存在を。
そんな彼が好きだと言ってくれた私で、最後までいたいから。
「私、謝らなくちゃいけないって思ってました。ノルベルト公爵の姉を奪い、殺したのは私だからって」
ずっとずっと引け目に思っていたのだ。
全て私が悪いのだと、私がいなければ悲しむ人がいなかったのに、と思っていたのだ。
(でも、私がいなかったら泣いてくれる人がいっぱいるんだったわ)