幽霊姫は止まれない!
 毒見なんてされてない謎の秘薬を飲もうとするし、妖精姫だなんて呼ばれていい気になって、変装もせず隣国へ突撃だってするのだ。
 娼館にだって突撃するし、成り行きで男装し、令嬢にもてはやされていい気になるような単純な性格で、そして勝手に自分を犠牲にしようとして、だれよりも大事に思ってくれている相手を簡単に傷付けるような人なのだ。

 思い返すとはた迷惑で、いいところなんてないだろう。
 欠点ばかり私だが、それでも、私はオスキャルが好きになった〝このままの私〟が大事だから。

「引きこもっていろって言われましたけど、お生憎様。私はもう外に出ることにしたんです。あ、今から帰れって言われてもダンスくらいは踊って帰るんで」
 くすりと挑発するように笑うと、無言になったノルベルト公爵が眉を吊り上げた。

「ずいぶんな態度だな。今日のパーティーは誰が主催かわかっているのか?」
「え、誘ったのそっちですけど。私は正当な権利で、踊るって言ってるんです。あ、なんだったらノルベルト公爵からのお誘いも一曲くらいなら踊ってあげても構いませんよ。姪ですし?」
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