幽霊姫は止まれない!
第一章 魔女の秘薬にご注意を!
第一話 お伽噺の魔女
「またですか、エヴァ様!」
今日も今日とて、脱走を図った私を捕まえたのは濃い茶色の髪に藍色の瞳を持った護衛騎士のオスキャルだ。
「いいじゃない、ちょっとくらい! 今日の勉強は終わらせたもの」
「だったら明日の予習でもなんでもしてください。俺の仕事はエヴァ様の護衛であって、エヴァ様の捜索隊ではないいんですよ!?」
ガルルルと怒りを露にする子犬のように吠えられ思わず肩をすくめてしまう。
確かに彼の言っていることは間違いない。オスキャルはあくまでも私を守る護衛騎士なのであって、そんな彼を撒くという行為は彼の仕事を増やしていると言っても過言ではないだろう。だが、仕方ない。だって。
「気になっちゃったのよ」
そう、気になっちゃったのだから。
「……う。何が、ですか」
王族特有の紫の瞳を数秒間かっぴらいて乾かし、涙を強制的に滲ませた私は、人為的に潤んだ瞳でオスキャルを見上げる。少し小首を傾げるのもポイントだ。この角度がオスキャルに効く。
「お伽噺の世界だと思っていた、魔女が! なんと今このリンディ国にいるのよ!」
今日も今日とて、脱走を図った私を捕まえたのは濃い茶色の髪に藍色の瞳を持った護衛騎士のオスキャルだ。
「いいじゃない、ちょっとくらい! 今日の勉強は終わらせたもの」
「だったら明日の予習でもなんでもしてください。俺の仕事はエヴァ様の護衛であって、エヴァ様の捜索隊ではないいんですよ!?」
ガルルルと怒りを露にする子犬のように吠えられ思わず肩をすくめてしまう。
確かに彼の言っていることは間違いない。オスキャルはあくまでも私を守る護衛騎士なのであって、そんな彼を撒くという行為は彼の仕事を増やしていると言っても過言ではないだろう。だが、仕方ない。だって。
「気になっちゃったのよ」
そう、気になっちゃったのだから。
「……う。何が、ですか」
王族特有の紫の瞳を数秒間かっぴらいて乾かし、涙を強制的に滲ませた私は、人為的に潤んだ瞳でオスキャルを見上げる。少し小首を傾げるのもポイントだ。この角度がオスキャルに効く。
「お伽噺の世界だと思っていた、魔女が! なんと今このリンディ国にいるのよ!」