幽霊姫は止まれない!
 この世の女性なら誰でも虜にさせるような――そんな、一片の隙もない〝王子様の笑み〟だ。



 この笑みは、『心の内側へ入れる笑み』ではないのだと、そう感じた。



「面白いし、可愛いし。政略結婚の相手に求める全てを兼ね備えてるだけじゃなく、俺はエーヴァファリンという女の子に好感を覚えたよ。この子が俺の結婚相手ってのも悪くないって。あ、悪くないなんて言い方したら気分悪い?」

「そんなことないです。王族の結婚ですから、意志なんて関係ない。そんな中で悪くないと思って貰えるなんて、これ以上ないですよ」

「あはは、うんうん、そういうとこ。俺も同じ考えなんだ」

 悪くない、という煮え切らない言い回しは、相手を切るわけではない。これから好きになれる、好きになれなくても尊敬し尊重できるという意味だ。

 他の子なら良かった、でないのなら、政略結婚の相手としては申し分ないだろう。



 そしてその考えも同じらしい。ならば私たちの相性はやはりいいはず。

 それなのに、ここからどう頑張っても彼との未来が交わらないとでも言うような雰囲気に、私はただただ口を閉じる。


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