幽霊姫は止まれない!
「俺は政略結婚の相手を探している。まぁ、今回の来訪の理由はそこがメインじゃなかったけど……でも俺も第一王子だからね。臣下からせっつかれてるんだ」

 サイラスはニ十四歳。兄よりも三歳若いものの、ニ十七でまだ婚約者がいないという兄が殊更珍しいだけで、サイラスも十分結婚適齢期だ。その状態で、まだ婚約者すら見つかっていないなら、心配されてもおかしくはない。



「俺的にはすぐにでも相手を見つけたいと思っていたわけじゃないけど、でも相性がいい相手がいたなら逃すつもりはなくてね」

「私は、相性悪かったですか?」

「ふふ、どうしてエヴァの方が悲壮な顔してるのかなぁ。……選ばれなかったのは、俺じゃない?」

「え!」

 サイラスの言葉に思わず目を見開く。

(私がサイラス様を選ばなかったの?)



 いつ彼を選ばなかったというのだろうか。

 意味がわからず混乱する私の手を離したサイラスが今度は大きく伸びをする。そのゆったりとリラックスした仕草を呆然としながら見ていると、パッとサイラスの表情が完璧な笑顔になった。
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