幽霊姫は止まれない!
 しれっと痛いところを突いてくるオスキャルを精一杯睨むが効果なし。逆に呆れ顔を向けられるが、そんな顔に怯んでいる場合ではない。巡り合えれば奇跡とすら言われる魔女だ、なんとしても会ってみたいが、もちろん目的はそれだけではない。

「オスキャルだって気になるでしょう? 魔女の秘薬」
「あー、願いを叶える奇跡の薬、ですか」

 魔女だけが生成できるという特別な薬、その名を〝魔女の秘薬〟という。そのままの名前ではあるが、効果が絶対だと言われれば実際に試してみたくなるに決まっているだろう。
 だが興味津々な私に対し、オスキャルは渋い顔でこちらを見たままだ。なんとかして彼を説得しなくては、私は私のこの好奇心を満たせない。
(仕方ないわね)
 ふぅ、と小さく息を吐いた私はさっきとは反対にスッと睫毛を伏せる。

「……もしかしたら、私にも魔力が宿るかも、しれないじゃない……」
「ッ!」

 しゅん、とした顔を作り俯きながらそう告げると、オスキャルが息を呑んだ。これはあともう一息だとそう確信した私は、ダメ押しでオスキャルの袖をあざとく引く。
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