BaD
空を眺めいるうちに、彼女はさっさと鍵の開いていそうな場所を探した。


「ちょっと待ってよ!」


僕は彼女を呼んだ。

別においていかれそうになって、怖かったわけではない。

庭の池に架けられた橋の上に、警察とは別の先客がいたのだ。


「誰?誰かいるじゃない。」


それに気づき彼女は小声で僕を呼んだので、僕は彼女から先客の方へ目をやった。

空もそろそろ本格的に暗くなり始めていたため、顔を識別することは出来なかった。

しかし身長から察するに、僕らと年はさほど変わらないだろう。

僕の視線に気が付いたのか、そいつは僕のほうに向き直しそして笑った。

笑っているのが見えたわけではない、そんな気がしたのだ。

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