BaD
「遊ぼぅ、たくさんゲームや おもちゃがあるんだ。」
そいつの声はこの世の者とは思えない凍りつきそうなほどの気味の悪い声をしていた。
僕だけじゃない。
先ほど後ろに回り込んだ彼女もそう思ったのだろう。
彼女は僕の背中に必死に訴えていた、帰りたいと。
言葉には一切しなかったが僕もまた、帰りたい衝動にかられていた。
だが彼女同様言えはしなかった。
しばし無言が続いた後、やつはまた声をかけてきた。
「…おいで。」
また直感的にそいつは笑ったような気がした。
行きたくないはずなのに、足は誘われるがままにどんどん前へと進んだ。