わけありくんを護ります


布団に入って、おかゆを食べ進めていく。

おいしい。
おいしい、けどっ……


情けない。
情けない。

情けないっ──


こんな時に熱って……私はバカなの?
大バカよ。こんなの。
少し気を張っただけなのに……

おかゆをすくったレンゲを持ったままうつむいていれば、すぐそばに気配がした。



「また200円になるってば……」

「いいですよ。いくらでも」
「なに言って……っ」

ふわり、背中をさする比江島くんの手があたたかかった。

「いつも、強い凛さんしか見てないから……泣いてる時はこうすべきなのかな、と」

「……おかゆが熱かっただけ、猫舌なの」
「そうですか。少しツンツン出てきましたね」
「ツンツンって……どうせ私は、普通の女の子と違ってかわいげないもの。そんなの自分で分かって──」
「そんなことない」

背中をさする手が止まり、わずかに視界に入っている比江島くんは首を振った。

「なんで……言いきるの」

「俺は……強くて頼れる凛さんを、目の前で見てきました。でも、ちゃんと女の子らしさもあって……満面の笑みまでいかなくても、凛さんの笑顔が俺は好きなんです」
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